オープンソースとして実装されたリレーショナル・データベース管
理システムには、MySQL、PostgreSQL、Firebird、SQLiteな
どがあります。SQLiteをのぞき、クライアント/サーバ型の構成を
とります。
1.3.1 MySQL
MySQLは、スウェーデンのMySQL AB社で開発され、現在はSum
Microsystemsによって開発されているリレーショナル・データベース管理
システムです。1995年にバージョン1.0が登場し、現在はバージョン5.1系(安
定版)と5.4系(開発版)、最新機能を盛り込んだ6.0系(開発版)が提供さ
れています。機能よりも高速性と堅牢性を重視して発展してきましたが、現
在では機能においても他のRDBMSに劣らないものとなっています。オープ
ンソースのRDBMSとしては世界でもっとも普及しています。
MySQLはオープンソースとして開発されていますが、無償で利用できる
GPLライセンスと、有料のコマーシャルライセンスのデュアルライセンスを
採用しており、用途に合わせて選択できます。無償版は「M y S Q L
Community Server」、有償版は、一般的なDBサーバとして社内やASP等で
使われる「MySQL Enterprise」、組込み用途やアプライアンスとして使われ
る「MySQL エンベデッドデータベース」、高い可用性とスケーラビリティ、
パフォーマンスを備えた「MySQL Cluster」があります。有償版は開発元に
よってテストが行われたバイナリが採用されており、サポートも付属します。
日本では、MySQLのユーザーコミュニティとして日本MySQLユーザ会
(http://www.mysql.gr.jp)があり、メーリングリストを中心に活動してい
ます。
◆MySQL公式サイト
http://www.mysql.com
◆MySQL日本語サイト
http://www-jp.mysql.com
◆MySQLユーザ会
http://www.mysql.gr.jp
1.3.2 PostgreSQL
PostgreSQLは、PostgreSQL Global Development Groupによって開発さ
れているリレーショナル・データベース管理システムです。商用データベ
ース並みの充実した機能を持っており、特に日本国内では商用システムに
おいて広く利用されています。
日本では、PostgreSQLのユーザーコミュニティとしてPostgreSQLユーザー
会(http://www.postgresql.jp/)があります。
◆PostgreSQL公式サイト
http://www.postgresql.org/
◆PostgreSQLユーザー会
http://www.postgresql.jp/
1.3.3 Firebird
Firebirdは、商用RDBMSのInterBaseから派生したリレーショナル・データ
ベース管理システムです。Mozilla Public Licenseに近いInterBase Public
L i c e n s e に基づいてオープンソースで開発されており、M y S Q L 、
PostgreSQLに次ぐオープンソースRDBMSとして注目されています。
◆公式サイト
http://www.firebirdsql.org/
◆Firebird日本ユーザー会
http://firebird.gr.jp/
1.3.4 SQLite
SQLiteは、アプリケーションに組み込んで利用される形態の簡易RDBMSで、
クライアント/サーバ型ではなくライブラリとして提供されます。PHPや
Pythonでは標準ライブラリに組み込まれており、プログラムから簡単に利
用することができます。
◆SQLite公式サイト
http://www.sqlite.org/
1.3.5 商用RDBMSとオープンソースのRDBMS
よく知られた商用RDBMS製品としては、Oracle社のOracle Database、
Microsoft社のSQL Server、IBM社のDB2などがあります。いずれも有償の
製品であり、ベンダーによるサポートが付属しています。
これらの商用RDBMSと比較して、オープンソースのRDBMSは何が違うの
でしょうか。おそらく一般的な用途では、機能面でオープンソースの
RDBMSが大きく劣るということはなくなってきています。サポートに関し
ても、オープンソースのRDBMSをサポートしているサードパーティベンダ
ー*がありますから、有償でサポートを受けることは可能です。比較的大規
模なデータベースにも、オープンソースRDBMSを適用することができます。
ただ、パフォーマンスやスケーラビリティについては商用製品に利があるこ
とが多いでしょう。もちろん、パフォーマンスチューニングを施すことによ
ってオープンソースRDBMSの性能を高めることはできますが、そのための
ノウハウが十分に提供されているとは言えない状況があります。パフォーマ
ンスチューニングをせずにオープンソースRDBMSを導入し、「やはり無料
のソフトウェアは使えない」と判断されるケースも耳にします。オープンソ
ースRDBMSを導入する場合は、その特徴を理解し、性能を十分に発揮でき
るように工夫しなければならないこともあります。
また、実務で利用する場合は、協力会社が必要なスキルを持っているか、教
育・研修体制が十分か、開発ツールが対応しているか、他のシステムとの親
和性はあるか、技術情報が豊富に存在するか、といったことも重要になって
きます。
RDBMSを導入する場合は、そのような点を考慮し、オープンソースを採用
するのか、商用製品を採用するのかを決定する必要があるでしょう。
*MySQLの場合は開発元である
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